ベトナムから002

「これが最後。もう二度と来ないよ」

今日、ハノイの市内観光ツアーに参加。そこで出会ったフランス人夫婦に感想を聞いた。これがその答えだった。

 

ベトナムは貧窮が続き、海外に亡命した家族とかから仕送りで生きながらえてきた過去がある。現在では海外企業が進出し桁違いのお金が容易に手に入るようになった。

著しい経済成長を遂げ、言ってみれば私の住むフランスよりも遙かにビジネスチャンスのある国になっている。ところがその大半は外国人から容易に稼ごうとする。苦労を知る年配者がほどこしを請うのはまあ許そう。しかしやる気さえあればどんな仕事でもできる若者に、「新しい携帯がほしいけど買ってくれないか?」下手すると「新車の車を買ってくれ」と平気で言ってくる。新車の車など私もほしいくらいだ。そういう輩にはどうやって仕事をうまく見つけるかなどを教えてやるとふてくされたようにそっぽを向く。


 月の収入が一般で10000円ほど。海外に住む親類などに頼めばすぐ、一ヶ月分の収入以上の原因をもらえると思っているのだ。また金銭感覚が違い、1000円くらいならちょっとしたことで支払う外国人に目をつけて、観光客目当てにぼったくりが横行する。そのぼったくりと言っても100円くらいからではあるが彼らにとって容易に一月分の稼ぎを手にしてしまうのだ。そうなれば人間簡単な方を選んでいくのは当然だ。

 昨日は二人乗りのボートを一人の人が手こぎで川下りをする。すばらしい景観に感動していると折り返し地点にはお土産だのを押し売りにくる船が手ぐすね引いて待っている。それらはこの船頭とぐるだから断ってもその場を自分の意思で立ち去れない。

 それをかわすと今度は船頭自身がどこからともなく出してきた箱からお土産を買っていってくれとあれこれ出してくる。「私たちは貧乏なんだから」と。正規の金額を払って船頭をやってもらっているので貧乏もへったくれもない。こう考えてみよう。タクシーに乗ったら目的地の途中でその運転手の知り合いの飲み屋に連れて行かれる。それをかわすとその運ちゃんが「腹を空かした子供がいるんでお恵みを...」といわれて気分がいいか?ちなみにこのボートツアーは大行列で大繁盛。不景気には見えない。元々ある自然を見せながら船をこぐだけで収入が得られるのだ。

 

 こういったやり方をするのでせっかくの観光も気持ちよくない。だまってやるべきことをやってくれればそれでチップも弾もうという物だ。ハノイを見ていると遙かに東京よりも観光客が多い。それだけ魅力を感じ、期待をしてきて、人々と出会うとがっかりさせられる。これはどれだけマイナスになっているかわかっていないのだろう。経済が急激に発展して人間の心がついてきてないのだ。5年以上前まだ、大半が貧困にあえいでいた頃の方がどれだけすてきな人たちに出会えたことか。そろそろ人間も発展してほしい。

 

 もしこれを読んでいる人がこれからベトナムに行こうと考えているなら一つアドバイス。しつこく体の悪いのがまとわりつくようなら一発がつんと活を入れてあげましょう。飼い慣らした犬のように簡単におとなしくさせることができます。

 

など長々とベトナムの欠点を書いたが、ヴィンテージバイクの集まりにかをお出すことができた。趣味が一緒でそこには利権も絡まないので何ともフレンドリーで気持ちのいいふれあいができたことか。こういう出会いや経験がベトナムを旅行する人たちに増えていくことを祈ります。